山の道具リペアシリーズNo.2 ポリタンを直す
 山行で水を運搬するポリタンはなくてはならない装備です。ところが、重いザックをドサッ、ガサッと下ろすたびに、自然と岩などにぶつかって、頑丈なはずのポリタンも凹んで穴が空いたりします。それを知らないでザックに入れて歩いていると、ザックの底からポタポタと水が垂れてきて、ザックの中が水浸しになるということがあります。そうした山行後、後片付けで穴あきポリタンを区別しておかなかったり、小さな穴なら大丈夫だろうとガムテープなどで修理したりして、また次の山行でザックの中を水浸しにすることがありました。ポリタンに大きく亀裂が入ってしまったような場合は処分するしかありませんが、水がポタリポタリとゆっくり落ちていくような小さな穴の場合は、適切な修理をすれば復活させることができます。そこで、今回は凹んで小さな穴が空いたポリタンを、ガムテープを貼るような応急処置でなく、もう少しきちんと直してみました。これは部費などの活動資金が少ない、高校のクラブが生きていく知恵でもあります。 
 山屋にはおなじみ、2リッターのポリタン。
 山岳部の歩荷や合宿ではこれが恐怖の重りとなる。撤収のパッキングの後、誰かがザックに入れ忘れたポリタンがどこからか発見され、その1個を誰が持つかが重大な問題。「自分が持ちます!」の発言をするには、相当の勇気がいる。
 岩にぶつけたか、角が凹んでしまい、よく見るとわずかに裂けて穴が空いている。黒く見えるのはセロテープを貼った跡。こんな修復ではもつはずがない。
 これを直す道具は、ホットメルトガン。プラスチック樹脂を溶かして接着させる道具だ。接着剤になる樹脂棒と共にホームセンターで売っている。たいてい1000円以内で買える。最近では少し規模の大きい100円ショップでも見かけるようになった。
 なお、「靴を直す」のコーナーで用いたシリコン系の接着剤は、ポリタンの材質がポリエチレンで接着効果が期待できないので使用するのを避けた。
 作業は至って簡単。穴の箇所に樹脂を充填するように溶かし込み、さらにその周囲に、やや厚めに樹脂を盛り、その後平らにならしていく。
 穴が樹脂で埋まり、水を入れてみたが漏れてこない。
 山の道具は、予想以上に酷使されますから、耐久性が必要です。果たしてこのポリタンは、山行に耐えうるでしょうか。次の日帰り山行に持っていき、様子を見てみることにします。
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