靴 を 直 す
 夏の山行後、管理人の靴底がはがれてしまいました。ちょうど時を同じくして、東京都が、登山靴の底が保管場所や手入れの状態によってははがれやすくなるという注意を出しました。材質となっているポリウレタンの経年変化によるものらしいです。今回の白馬岳山行でもはがれて放置されていた靴底を2枚見ました。手入れや保管はちゃんとしていたつもりなのですが、かれこれ10年近くは履いていた靴なので、そろそろウレタンの寿命が来たのかも知れません。
 アッパー部分は健在なので、靴底だけでも張り直しがきかないものかとメーカーに問い合わせたところ、接着剤で張り合わせている、いわゆる「セメント工法」のものは、張り直しても新品時のような強度が得られないので張り直しはやっていないとのこと。たしかにハードな使い方が要求される山靴は、強度が劣れば登山者の命取りになります。メーカーとしてはいい加減な対応ができないのは当然でしょう。
 でも、どうしてもこのまま靴を廃棄してしまうのは惜しまれるので、はがれた靴底を張り付けてみることにしました。 
パックリと口を開けてしまった靴底。泥や砂をよく洗って乾かす。接着剤を塗る面をアルコールやラッカーの薄め液などでふいて油分を取り去る。その後でサンドペーパーをかけておく。接着剤がのりやすくするためだ。
接着する両面にゴム系の接着剤を全面塗る。有機系の溶剤が含まれているので、必ず野外で作業する。そのまま5分程度乾かし、指で触っても接着剤が指についてこなくなったら、両面を圧着する。
両面を圧着したら、瞬間的に強い力を加えて、より強く接着する。
溶剤がすっかり抜けていくまで放置する。1週間位経ったら、シリコン系のシーリング剤を接着した境に塗布する。接着した境目の部分から水や砂が入り込んで、接着面の力が弱くなるのを防ぐためだ。盛り上げて塗ったら、すぐにヘラでならして、凹んだ部分に塗り込むようにする。乾くとゴムのようになる。
写真ではわかりにくいが、シーリング剤が完全に乾いた状態。靴底も接着できている。
 山では道具に不備があると、最悪の場合は命にかかわってきます。特に靴はその最たるものです。今回の修理は、あくまでも自己責任によるもの。完全に接着しているとは思いますが、これで縦走するつもりはありません。でも、日帰りの低山ハイク程度なら大丈夫だと思います。次回の日帰り山行で確かめてみるつもりです。
 現在、ショップで売られている山靴の多くは軽量のトレッキングシューズです。靴底は接着剤によるセメント工法で接着されています。通常に使って靴底がはがれたりすり減ったりして買い換えても、5〜8年使い続けることができればよしとするか。あるいは重登山靴で靴底を張り替えながら使い続けるのがよいのか。山や自然を愛する者は、できるだけエコロジカルな考え方をしたくなるものです。
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