これまで、山に持っていける食材はある程度限られていました。生の肉・魚はまず不可能。野菜も日持ちする根菜のみ。レトルト食品なら肉も野菜も食べることはできますが、それでは面白くありません。それで、少し工夫することにしました。そして、このおかげで、トマト・キュウリ・キャベツなどを痛めることなく山で食することができました。
 これが代々伝わる「食缶」です。古いOBが提供してくれた、いわゆるせんべい缶で、これを3個背負子にザイルでくくりつけて、この中に食料や食材を入れていきます。山で行き会う人たちからは、「あら〜、一斗缶あんなに背負って、重そうね。」と注目を浴びます。食材が詰まった初日はゆうに30キロを超える重さになります。日程が消化されていくうちに、「食缶」は「ゴミ缶」と化し、背負っていたものの苦労は報われ、次第に楽になるのです。今回の白馬岳〜朝日岳の縦走では2人のOBに食缶の大役を務めてもらいました。
 ただ、食缶の材質は薄い鉄板です。炎天下で直射日光を浴びると、中はものすごく高温になるはずです。このへんを何とか工夫したいというのが、今回のねらいです。
食缶の内側に断熱材を貼って、簡易クーラーボックスにする。
 ホームセンターで、発泡スチロールの板を購入。182p×91pで3センチ厚のものが約700円。これをせんべい缶の内寸に合うように切っていきます。切るのはカッターナイフで簡単にできます。カッターで切る場合、切りしろはほとんどいりません。購入した大きさの発泡スチロールで、せんべい缶4個分とれます。
 このままでもOKですが、表面となるところにアルミマットを貼ります。アルミマットは100円ショップで売っていた150p×90pのもの。これで、せんべい缶4個分とれます。貼り付けは両面テープを使います。接着剤は、発泡スチロールを溶かしてしまう材質のものが多いので、両面テープを用いるのがベスト。
 せんべい缶の中に入れた図。内寸ピッタリなので、せんべい缶の面とは特に接着作業をする必要はありません。むしろ、この断熱材が取り外せた方が、山行ではいろいろと楽です。アメリカの有名アウトドアメーカーC社の保冷力を誇るクーラーボックスはウレタン厚が4.5p。まあ、それに匹敵するくらいの効果はありそうです。中に凍らせた500ミリリットルのペットボトルを入れ、密閉して日の当たるもとに2時間放置しました。外気温30度のとき、2時間後の庫内温度は14度でした。内容積が犠牲になりますが、断熱効果を生かすには仕方ありません。
 今回の山行では6個の食缶のうち、2個をこのクーラー缶にしました。初日に使う肉を冷凍して入れておけば保冷剤代わりにもなり、また、2日目は雪渓のかけらをビニール袋や密閉容器に入れて保冷剤代わりに使えそうです。

山に生鮮食料品を持っていく方法

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